「女性でも警備業界で管理職になれるの?」「どんなキャリアパスがあるの?」
結論からお伝えすると、女性も男性と同じステップでキャリアアップが可能です。警察庁の令和5年警備業の概況によると、女性警備員は全国に**4万975人(全体の7.0%)**おり、大手を中心に女性管理職の登用が進んでいます。
この記事では、女性警備員のキャリアパスの全体像、具体的な昇進事例4パターン、管理職の実態、資格取得ロードマップ、大手警備会社の女性支援制度、そしてライフイベントとの両立について詳しく解説します。
女性警備員のキャリアパスとは
警備業界における女性のキャリアパスは、男女共通の昇進ルートと女性特有のポジションの2つに分かれます。
男女共通の昇進ルート
警備業法では、警備員の資格要件に男女の区別はありません。つまり、女性も男性と同じ条件で昇進・キャリアアップが可能です。
| ステージ | 役職 | 主な業務 | 必要な資格・経験 |
|---|---|---|---|
| 1 | 一般警備員 | 現場業務全般 | 新任教育30時間以上 |
| 2 | 経験警備員 | 後輩指導も担当 | 検定2級取得が目安 |
| 3 | リーダー・班長 | 5〜10名のチーム統括 | 検定1級、3〜5年経験 |
| 4 | 隊長・現場責任者 | 20名以上の現場統括 | 5〜10年経験 |
| 5 | 管理職 | 営業所長・教育課長など | 指導教育責任者など |
女性特有のキャリアルート
女性ならではの強みを活かせるポジションも増えています。
教育・研修担当 女性新人への指導や、女性視点を活かした研修プログラムの開発を担当。デスクワーク中心で、体力的な負担が軽減されます。
顧客対応・営業 女性のコミュニケーション能力を活かした営業活動。特に商業施設や病院など、女性客が多い施設では重宝されます。
女性専門チームのリーダー 百貨店・商業施設の女性専用エリアや、女性VIPの警護など、女性チームをまとめるリーダー職。
ダイバーシティ推進担当 企業の女性活躍推進や働きやすい職場づくりを担当。女性警備員としての経験を制度設計に活かせます。
一般的なキャリアステップと昇進の流れ
女性警備員が実際にたどるキャリアステップを、年次ごとに詳しく解説します。
ステップ1:一般警備員(入社1〜3年目)
年収目安:270万円〜320万円
入社後、法定の新任教育(30時間以上)を受けてから現場に配属されます。
この期間にやるべきこと
- 巡回、受付、モニター監視など基本業務を習得
- 警備業務検定2級の取得を目指す
- 社内の人間関係を構築
- 夜勤を含むシフトを経験(可能な範囲で)
ステップ2:経験警備員(3〜5年目)
年収目安:320万円〜380万円
一人前として認められ、後輩指導を任されるようになります。
この期間にやるべきこと
- 検定2級を取得、1級の学習を開始
- 複数の現場を経験し、対応力を高める
- 新人指導で「教える力」を養う
- リーダー候補として手を挙げる
ステップ3:リーダー・班長(5〜10年目)
年収目安:380万円〜450万円
5〜10名程度のチームをまとめる立場になります。
この期間にやるべきこと
- 検定1級を取得
- シフト管理、勤怠管理を学ぶ
- クレーム対応などの難しい場面を経験
- 指導教育責任者資格の取得を検討
ステップ4:隊長・現場責任者(10年目以降)
年収目安:450万円〜550万円
大規模現場(20名以上)の責任者として、クライアント対応や契約更新の折衝も担当します。
ステップ5:管理職(15年目以降)
年収目安:500万円〜650万円
営業所長、教育担当課長など、現場を離れてマネジメント中心の業務に移行します。本社勤務の可能性もあります。
女性の昇進事例【具体的なキャリア例】
実際に女性警備員がどのようにキャリアアップしているのか、4つの具体的な事例を紹介します。
事例1:接客業から転職、7年で班長に(30代女性)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前職 | 百貨店の販売員 |
| 入社時 | 28歳、未経験 |
| 現在 | 35歳、班長 |
| 勤務先 | 大型商業施設 |
| 年収 | 420万円 |
キャリアの軌跡
- 1年目:施設警備員として入社、基本業務を習得
- 2年目:施設警備業務検定2級を取得
- 3年目:女性スタッフのまとめ役に(非公式)
- 4年目:リーダーに昇進
- 6年目:検定1級を取得
- 7年目:班長に昇進、10名のチームを統括
成功のポイント
- 前職の接客経験を活かした顧客対応
- 女性スタッフのケア役を積極的に引き受けた
- 夜勤も含めたシフトに柔軟に対応
- 「班長になりたい」と明確に意思表示
事例2:子育てと両立しながら18年で管理職に(40代女性)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前職 | 一般事務 |
| 入社時 | 25歳 |
| 現在 | 45歳、教育担当課長 |
| 勤務先 | 大手警備会社 |
| 年収 | 580万円 |
キャリアの軌跡
- 1〜5年目:オフィスビルの施設警備、検定2級・1級取得
- 6年目:班長に昇進
- 8年目:産休・育休取得(1年間)
- 9年目:復職、時短勤務でモニター監視中心に
- 11年目:フルタイム復帰、教育担当に異動
- 15年目:指導教育責任者資格取得
- 18年目:教育担当課長に昇進
成功のポイント
- 産休前に検定1級と班長の実績を作った
- 復職後は時短勤務を積極的に活用
- 教育担当という「女性が活躍しやすいポジション」への異動を希望
- ライフステージに合わせて働き方を柔軟に変更
事例3:元警察官、身辺警護のスペシャリストに(30代女性)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前職 | 警察官(5年) |
| 入社時 | 30歳 |
| 現在 | 38歳、身辺警護チームリーダー |
| 勤務先 | 専門警備会社 |
| 年収 | 520万円 |
キャリアの軌跡
- 警察官として5年間勤務後、警備会社に転職
- 1〜2年目:施設警備で実績を積む
- 3年目:身辺警護チームに配属
- 5年目:女性VIP専門の警護担当に
- 8年目:身辺警護業務検定1級取得、チームリーダー
成功のポイント
- 警察官時代の経験と訓練が即戦力に
- 女性VIPの警護という「代替不可能な専門性」を構築
- ニッチな市場で唯一無二の存在に
事例4:未経験から10年で営業所長候補に(40代女性)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前職 | 飲食店店長 |
| 入社時 | 35歳、未経験 |
| 現在 | 45歳、副所長 |
| 勤務先 | 中堅警備会社 |
| 年収 | 500万円 |
キャリアの軌跡
- 1〜3年目:交通誘導警備から開始、検定2級取得
- 4年目:施設警備に異動、リーダーに
- 6年目:検定1級取得、班長昇進
- 8年目:隊長に昇進、複数現場を統括
- 10年目:指導教育責任者取得、副所長に
成功のポイント
- 飲食店店長時代のマネジメント経験を活かした
- 「女性初の営業所長を目指す」と明確な目標設定
- 交通誘導と施設警備の両方を経験し、幅広い知識を習得
昇進までの平均期間
女性の昇進期間は、男性とほぼ同じです。
| 役職 | 昇進までの平均期間 | 女性の注意点 |
|---|---|---|
| リーダー | 3〜5年 | 同等 |
| 班長 | 5〜8年 | 産休・育休で+1〜2年 |
| 隊長 | 8〜12年 | 時短勤務期間を考慮 |
| 管理職 | 10〜15年 | 教育担当経由が多い |
ライフイベントによる休業期間があっても、復帰後に着実にキャリアを積むことで管理職を目指せます。
女性管理職の実態と仕事内容
警備業界における女性管理職の現状を、データとともに解説します。
女性管理職の比率
警備業界の女性管理職比率は、まだ低い水準です。しかし、大手を中心に積極的な登用が進んでいます。
業界全体の状況
| 役職 | 女性比率(推定) |
|---|---|
| 女性警備員全体 | 7.0%(4万975人) |
| リーダー | 約5〜8% |
| 班長 | 約3〜5% |
| 管理職 | 約3〜5% |
大手企業の女性管理職目標
ALSOKは「女性管理職比率7.0%」を2026年度末目標に掲げており、女性の登用を積極的に推進しています。
女性管理職の仕事内容
女性管理職の仕事は男性と基本的に同じですが、女性ならではの役割も期待されます。
共通の業務
- シフト管理・人員配置
- クライアント対応・契約管理
- 予算管理・経費処理
- 部下の評価・育成
- 報告書作成・会議参加
女性管理職に期待される役割
- 女性警備員の相談窓口・メンター
- 女性向け研修プログラムの企画
- 女性採用の推進・面接官
- ハラスメント対策のリーダー
- ダイバーシティ推進の象徴
女性管理職は、組織のダイバーシティを高める存在として重宝されています。
キャリアアップに必要な資格
女性がキャリアアップするために取得すべき資格を、ロードマップとして整理しました。
資格取得ロードマップ
入社〜3年目:検定2級を取得
| 資格 | 取得時期 | メリット |
|---|---|---|
| 施設警備業務検定2級 | 1〜2年目 | 施設警備の基本資格 |
| 交通誘導警備業務検定2級 | 1〜2年目 | 交通誘導の基本資格 |
| 上級救命講習修了 | 随時 | 緊急対応力の証明 |
3〜7年目:検定1級を取得
| 資格 | 取得時期 | メリット |
|---|---|---|
| 施設警備業務検定1級 | 3〜5年目 | リーダー・班長の条件 |
| 交通誘導警備業務検定1級 | 3〜5年目 | 現場責任者の条件 |
| 防災センター要員講習 | 随時 | 大規模施設で必須 |
7年目以降:管理者資格を取得
| 資格 | 取得時期 | メリット |
|---|---|---|
| 警備員指導教育責任者 | 7〜10年目 | 教育担当・管理職の必須条件 |
| 機械警備業務管理者 | 随時 | 機械警備の管理者になれる |
詳しくは「警備員の資格完全ガイド|検定・管理者資格の全種類と取得順序」をご覧ください。
女性におすすめの資格
語学力(英語・中国語など) 空港警備、外資系ビル、インバウンド対応施設で重宝されます。女性の語学力を活かした配属先も増えています。
衛生管理者 大規模営業所では必須。管理職を目指すなら取得しておくと有利です。
防災士 災害対応の専門知識。教育担当や防災訓練のリーダーとして活躍できます。
大手警備会社の女性キャリア支援制度
大手警備会社では、女性のキャリアアップを支援する制度が整っています。
警備なでしこ(全国警備業協会)
全国警備業協会は「警備なでしこ」というスローガンを掲げ、女性警備員の活躍を推進しています。
主な取り組み
- 女性警備員の採用促進キャンペーン
- 女性向け研修プログラムの開発
- 働きやすい職場環境の整備支援
- 女性管理職のロールモデル紹介
ALSOKの女性活躍推進
ALSOKは女性活躍推進に積極的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 女性管理職比率目標 | 7.0%(2026年度末) |
| 現状(2024年) | 4.8% |
| 女性採用比率 | 約20%(総合職) |
| 育休復職率 | 約95% |
| 女性リーダー育成研修 | 実施中 |
女性向けキャリア支援制度
- メンター制度(女性管理職がサポート)
- 女性リーダー育成研修
- 育児との両立支援(時短勤務、夜勤免除など)
- キャリア相談窓口の設置
セコムの女性活躍推進
セコムも女性活躍推進法に基づく行動計画を策定しています。
主な取り組み
- 女性採用比率の向上
- 女性管理職育成プログラム
- 育児支援制度の充実
- 柔軟な働き方の推進
セコムは詳細な数値目標を公開していませんが、女性のキャリアアップ支援に力を入れています。
中堅企業の取り組み
大手以外でも、女性活躍に力を入れる企業が増えています。
確認すべきポイント
- くるみん認定(子育てサポート企業認定)の有無
- えるぼし認定(女性活躍推進企業認定)の有無
- 女性管理職の人数・比率
- 女性社員の声・口コミ
会社選びの際は、「女性が働きやすい警備会社の選び方|チェックポイントとおすすめ」も参考にしてください。
ライフイベント(出産・育児)との両立
女性のキャリアには、結婚・出産・育児といったライフイベントが影響します。警備業界での両立方法を解説します。
産休・育休の取得
法定の産休・育休
- 産前休業:出産予定日の6週間前から
- 産後休業:出産翌日から8週間
- 育児休業:子どもが1歳になるまで(最長2年)
大手警備会社では、産休・育休の取得率・復職率ともに高い傾向があります。ALSOKの育休復職率は約95%と報告されています。
復職後の働き方
時短勤務 子どもが3歳になるまで、または小学校入学まで利用可能な企業が多いです。
夜勤免除 育児中は夜勤を免除される制度。子どもが小学校低学年まで利用できる企業も。
日勤専門の配属 商業施設など日勤中心の現場に配属してもらえるケースも。
教育担当への異動 現場勤務からデスクワーク中心の教育担当に異動し、シフト勤務の負担を軽減。
両立を成功させるポイント
1. 産休前に実績を作る 検定資格の取得、リーダー経験など、復帰後のキャリアにつながる実績を積んでおく。
2. 復職前に会社と十分に相談 希望する働き方(時短、日勤のみ、配属先など)を早めに伝え、調整してもらう。
3. 周囲のサポートを得る 同僚や上司との良好な関係を普段から築いておく。子どもの急な病気などで休む際も、理解を得やすくなる。
4. 長期的な視点でキャリアを考える 子育て期間は一時的なもの。子どもが大きくなれば、再びフルタイム勤務や夜勤も可能に。焦らず長期的なキャリアを描く。
確認すべき両立支援制度
| 制度 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 産休・育休 | 法定通り取得可能か | 取得実績、復職率 |
| 時短勤務 | 勤務時間の短縮 | 対象年齢、利用実績 |
| 看護休暇 | 子どもの病気時の休暇 | 有給か無給か |
| 育児フレックス | 出退勤時間の調整 | 導入の有無 |
| 夜勤免除 | 育児中の夜勤免除 | 対象年齢、期間 |
| 保育料補助 | 保育園費用の補助 | 金額、条件 |
大手企業ほど制度が充実している傾向があります。子育て予定のある方は、福利厚生を重視して会社を選びましょう。
キャリアアップを成功させるポイント
女性が警備業界でキャリアアップを実現するためのポイントを5つ紹介します。
1. 積極的に手を挙げる
昇進のチャンスは、待っているだけでは訪れません。
具体的なアクション
- 「リーダーをやりたい」と上司に明確に伝える
- 新しい現場への挑戦を希望する
- 研修やプロジェクトに自ら参加を申し出る
- 「女性初の〇〇」を目指すと宣言する
2. 資格取得を計画的に進める
キャリアアップには資格が欠かせません。ライフイベントも考慮して計画を立てましょう。
資格取得のタイミング
- 産休・育休前に検定2級、できれば1級を取得
- 復帰後は指導教育責任者を目指す
- 有効期限の更新手続きを忘れない
3. 多様な経験を積む
偏りのない経験が、管理職への道を開きます。
経験すべきこと
- 日勤・夜勤の両方(可能な範囲で)
- 複数の現場・業務区分
- 後輩指導・教育
- クレーム対応などの難しい場面
4. 人脈を広げる
社内外のネットワークが、情報収集やキャリアの選択肢を広げます。
人脈づくりのポイント
- 同じ会社の他現場スタッフと交流
- 業界の研修やイベントに参加
- 女性警備員同士のコミュニティに参加
- 先輩女性管理職との関係構築
5. ロールモデルを見つける
自分より先にキャリアを築いた女性の存在が、道しるべになります。
ロールモデルの見つけ方
- 社内の女性管理職に話を聞く
- 業界イベントで女性リーダーの講演を聴く
- 「警備なでしこ」などの事例を参考にする
まとめ
女性警備員のキャリアパスは、男性と同様に開かれています。大手を中心に女性管理職の登用が進んでおり、追い風が吹いている時代です。
この記事のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 女性警備員数 | 4万975人(全体の7.0%) |
| キャリアステップ | 一般→経験→リーダー→班長→隊長→管理職 |
| 管理職までの目安 | 10〜15年 |
| 女性特有のルート | 教育担当、顧客対応、女性チームリーダー |
| 必須資格 | 検定2級→1級→指導教育責任者 |
| 大手の女性支援 | ALSOK:女性管理職7.0%目標 |
キャリアアップを成功させる5つのポイント
- 積極的に手を挙げる
- 資格取得を計画的に進める
- 多様な経験を積む
- 人脈を広げる
- ロールモデルを見つける
女性管理職はまだ少数派だからこそ、「女性初の〇〇」になるチャンスがあります。ライフイベントと両立しながら、長期的な視点でキャリアを築いていきましょう。
会社選びの際は、女性のキャリアアップ支援制度や育児との両立制度を確認することが重要です。詳しくは「女性が働きやすい警備会社の選び方|チェックポイントとおすすめ」をご覧ください。
また、女性警備員の仕事内容や年収については、以下の記事も参考にしてください。












