「AIやロボットが導入されると、警備員はどんなスキルを身につければいいの?」「将来も警備員として活躍するには何を勉強すればいい?」
結論からお伝えすると、AI時代の警備員にはITリテラシー、データ分析能力、コミュニケーション能力、判断力、観察力、学習意欲の6つのスキルが重要です。これらのスキルは、OJT、社内研修、資格取得、自己学習、複数現場経験という5つの方法で習得できます。
この記事では、AI時代に警備員に求められるスキルと、その具体的な習得方法を解説します。警備業界のDX化が進む中で、キャリアアップを目指す方は参考にしてください。
AI・ロボット技術が警備業界に与える影響の全体像については、「警備員とAI|将来性・求められるスキル・テクノロジーの影響」で詳しく解説しています。
AI時代に警備員に求められるスキルとは
警備業界のDX化で変わる仕事内容
警備業界では、AIカメラ、警備ロボット、IoTセンサーなどのテクノロジー導入が加速しています。国土交通省や経済産業省の推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを受け、警備会社各社もデジタル化への投資を進めています。
主な変化のポイント
| 従来の業務 | DX化後の業務 |
|---|---|
| 巡回による目視確認 | AIカメラ+人による確認 |
| 紙の報告書作成 | タブレット入力 |
| 電話連絡 | チャット・システム連携 |
| 経験則による判断 | データに基づく判断 |
スキルの重要性が高まる理由
単純作業はAI・ロボットに置き換わる可能性がある一方で、「人にしかできない仕事」の価値は高まります。機械と協働しながら、高度な判断や対人対応を行える警備員は、今後も求められ続けるでしょう。
警備業界のDX化の詳細については、「警備業界のDX化|最新技術と現場の変化」をご覧ください。
今後重要性が高まる6つのスキル
AI時代に警備員として価値を発揮するために、以下の6つのスキルが重要です。
1. ITリテラシー
なぜ重要か
警備業界のDX化に伴い、タブレット、スマートフォン、監視システム、警備ロボットなど、IT機器を日常的に使用する機会が増えています。IT機器を使いこなせないと、新しい業務に対応できなくなるリスクがあります。
具体的に求められる能力
- タブレットやスマートフォンの基本操作
- 監視システム(モニター、録画装置)の操作
- 報告アプリへの入力・送信
- 警備ロボットとの連携操作
- メールやチャットでのコミュニケーション
- クラウドサービスの基本的な利用
習得のポイント
特別な専門知識は必要ありません。「新しい機器への抵抗感をなくす」ことが第一歩です。日常生活でスマートフォンやタブレットを積極的に使い、基本操作に慣れておきましょう。
2. データ分析能力
なぜ重要か
AIカメラや各種センサーが収集するデータを理解し、適切に活用する能力が求められます。データを読み解くことで、より効果的な警備計画の立案や異常の早期発見が可能になります。
具体的に求められる能力
- 監視システムのダッシュボード理解
- 異常検知アラートの意味理解
- 過去データとの比較分析
- レポートの作成・読解
- Excelやスプレッドシートの基本操作
習得のポイント
高度な統計知識は不要です。まずは監視システムの画面を見て、「何を表示しているのか」「数値が何を意味するのか」を理解することから始めましょう。Excelの基本操作(SUM、AVERAGE、グラフ作成など)を覚えておくと役立ちます。
3. コミュニケーション能力
なぜ重要か
来訪者への案内、クレーム対応、トラブル解決など、対人対応は現時点でも将来的にも人間の警備員が担当する可能性が高い業務です。AIが対応困難な「感情を持つ人間への対応」は、警備員の重要な役割です。
具体的に求められる能力
- 丁寧で分かりやすい言葉遣い
- 相手の話を聞く傾聴力
- 状況を適切に説明する説明力
- 相手の感情に配慮した対応力
- クレーム・苦情への冷静な対処
- 外国人対応のための基本的な英語力(あれば有利)
習得のポイント
日常業務での来訪者対応を「スキルアップの機会」として意識的に捉えましょう。「相手が何を求めているか」を考えながら対応することで、自然とスキルが向上します。
4. 判断力・問題解決能力
なぜ重要か
AIが検知した異常に対して「どう対応すべきか」を判断するのは人間の役割です。マニュアルにない状況、複数の選択肢がある状況では、経験に基づく判断力が求められます。
具体的に求められる能力
- 緊急時に冷静さを保つメンタル
- 複数の選択肢から最適解を選ぶ判断力
- 問題の原因を特定する分析力
- 関係者と連携して解決に導く調整力
- 優先順位をつける能力
習得のポイント
判断力は経験の積み重ねで培われます。トラブル発生時に「なぜその判断をしたか」を振り返り、次に活かす習慣をつけましょう。過去の事例を学ぶことも効果的です。
5. 観察力・注意力
なぜ重要か
「何かがおかしい」という違和感を察知する能力は、AIでは完全に代替できません。AIが検知しない異常(例:人の表情の変化、雰囲気の違和感など)に気づくのは、経験を積んだ人間の警備員です。
具体的に求められる能力
- 周囲の状況を常に把握する意識
- 「いつもと違う」に気づく感度
- 不審な人物・行動を見分ける眼力
- 細部まで注意を払う集中力
- 五感を使った異常察知
習得のポイント
巡回時に「異常がないか」を意識的に確認する習慣をつけましょう。「何を見るべきか」のチェックリストを作成し、ポイントを押さえた観察を行うことで、スキルが向上します。
6. 学習意欲・適応力
なぜ重要か
技術の変化が速い時代において、**最も重要なスキルは「学び続ける姿勢」と「変化に適応する力」**です。特定のスキルを身につけるだけでなく、新しいスキルを継続的に習得し続けることが求められます。
具体的に求められる能力
- 新しい技術やシステムへの抵抗感のなさ
- 「わからないから学ぶ」という姿勢
- 業務内容の変化を前向きに捉える柔軟性
- 自分のキャリアを主体的に考える意識
- 失敗を恐れずに挑戦する姿勢
習得のポイント
「できない」ではなく「どうすればできるか」を考える習慣をつけましょう。新しいことに挑戦し、失敗してもそこから学ぶ姿勢が大切です。
相対的に重要性が下がる可能性のあるスキル
以下のスキルは、技術の発展により相対的に重要性が下がる可能性があります。ただし、「不要になる」という意味ではなく、「それだけでは差別化が難しくなる」という意味です。
単純な記憶力
巡回ルートや手順の記憶は、システムやロボットが管理できるようになっています。ナビゲーションシステムがルートを指示し、チェックリストアプリが手順を案内してくれます。
定型作業の正確さだけ
同じ作業を正確に繰り返すことは、ロボットが得意とする領域です。巡回ロボットは24時間休むことなく、一定のルートを正確に巡回できます。
長時間の集中監視
複数モニターを長時間監視する能力は、AIの映像解析に置き換わりつつあります。AIは24時間休まず、複数のカメラ映像を同時に解析し、異常を検知できます。
重要な補足
これらの能力が基盤として必要なことに変わりはありません。ただし、「6つのスキル」と組み合わせることで、より総合的な価値を発揮できます。「単純作業を正確にこなす人」から「判断と対応ができる人」へのシフトが求められています。
スキルアップの具体的な5つの方法
上記のスキルを習得するための具体的な方法を5つ紹介します。
方法1:OJT(日常業務での学習)
最も効果的なスキルアップ方法は、日常業務を「学びの機会」として捉えることです。
具体的な実践方法
| 業務 | スキルアップポイント |
|---|---|
| 来訪者対応 | コミュニケーションスキルを意識 |
| 巡回 | 観察力を鍛える意識を持つ |
| トラブル対応 | 判断プロセスを振り返る |
| システム操作 | 新機能を積極的に試す |
| 報告書作成 | データ整理の練習機会 |
実践のコツ
- 先輩の対応を観察し、良い点を取り入れる
- 「なぜそうなったか」を考える習慣をつける
- 日報に「今日学んだこと」を1つ書く
方法2:社内研修への積極参加
多くの警備会社では、スキルアップのための研修を実施しています。
主な研修の種類
| 研修 | 内容 | 対象スキル |
|---|---|---|
| 新任教育 | 警備業法で義務付けられた基本研修 | 基礎知識 |
| 現任教育 | 年1回以上の継続研修 | 最新知識 |
| IT研修 | システム・アプリ操作 | ITリテラシー |
| 接客研修 | クレーム対応、コミュニケーション | 対人スキル |
| シミュレーション訓練 | 緊急時対応の実践訓練 | 判断力 |
活用のコツ
研修は「義務」ではなく「自分のスキルアップの機会」として積極的に参加しましょう。質問を積極的にすることで、理解が深まります。
方法3:資格取得
資格取得は、スキルを体系的に身につけ、客観的に証明する有効な方法です。詳細は次のセクションで解説します。
資格取得のメリット
- 体系的な知識・スキルの習得
- キャリアアップの土台
- 資格手当による収入アップ
- 転職時のアピールポイント
方法4:自己学習
業務外でも、以下のような自己学習が効果的です。
ITリテラシー向上
- スマートフォン・タブレットの新機能を試す
- Excel・スプレッドシートの基本操作を練習
- IT関連のニュースをチェック
業界知識向上
- 警備関連の書籍・マニュアルの読書
- 業界ニュースのチェック(警備新報など)
- 他業種のDX事例を学ぶ
その他
- 英語の基本フレーズ学習(外国人対応用)
- 応急手当の知識(YouTube講座など)
方法5:複数現場の経験
可能であれば、施設警備、イベント警備、交通誘導など、複数の業務を経験しましょう。
複数現場経験のメリット
| メリット | 具体例 |
|---|---|
| 判断力向上 | 様々なケースへの対応経験 |
| 適応力向上 | 新しい環境への順応力 |
| キャリアの幅 | 希望する業務への異動可能性 |
| 総合力向上 | 他現場の良い点を取り入れ |
実践のコツ
会社に異動希望を伝える、ヘルプ要員に立候補するなど、積極的に複数現場を経験する機会を作りましょう。
資格取得でキャリアの選択肢を広げる
資格取得は、スキルを証明し、キャリアの選択肢を広げる有効な手段です。AI時代においても、資格を持つ警備員は付加価値が高いと評価されます。
警備業務検定(6種類)
警備業務検定は、警備業法に基づく国家資格です。各業務区分で1級・2級があり、合計6種類の検定があります。
| 資格名 | 内容 | 取得のメリット |
|---|---|---|
| 施設警備業務検定(1級・2級) | 施設警備の専門資格 | 大型施設での配置が可能に |
| 交通誘導警備業務検定(1級・2級) | 交通誘導の専門資格 | 資格者配置路線で必須 |
| 雑踏警備業務検定(1級・2級) | イベント警備の専門資格 | 大規模イベントで重宝 |
| 貴重品運搬警備業務検定(1級・2級) | 現金輸送の専門資格 | 3号警備への道 |
| 核燃料物質等危険物運搬警備業務検定(1級・2級) | 特殊分野の専門資格 | 専門性の高い業務 |
| 空港保安警備業務検定(1級・2級) | 空港警備の専門資格 | 航空保安検査員への道 |
検定の詳細については、「警備業務検定とは|6種類の資格と取得方法を完全解説【2026年版】」をご覧ください。
管理者資格(2種類)
管理者資格を取得すると、警備会社内でのキャリアアップに直結します。
| 資格名 | 内容 | 取得のメリット |
|---|---|---|
| 警備員指導教育責任者 | 警備員の教育担当 | 管理職への道、年収アップ |
| 機械警備業務管理者 | 機械警備の管理 | AI時代に重要性が高まる資格 |
特に機械警備業務管理者は、AIカメラやセンサーを活用した機械警備を管理する資格であり、DX化が進む警備業界では重要性が高まっています。
管理者資格の詳細については、「警備員の管理者資格ガイド|指導教育責任者と機械警備業務管理者を徹底解説【2026年版】」をご覧ください。
機械警備業務管理者については、「機械警備業務管理者とは?誰でも取得可能な管理者資格を徹底解説【2026年版】」で詳しく解説しています。
おすすめの資格取得順序
未経験からのステップアップ例
- 入社〜1年目:現任教育を受けながら業務を覚える
- 1〜2年目:施設警備業務検定2級または交通誘導警備業務検定2級を取得
- 2〜3年目:1級検定または機械警備業務管理者を取得
- 3年目以降:警備員指導教育責任者を目指す
資格の難易度や取得順序については、「警備員の資格完全ガイド|検定・管理者資格の全種類と取得順序」を参考にしてください。
資格取得支援制度の活用
多くの警備会社では、資格取得のための支援制度を設けています。
主な支援制度
- 受験費用の会社負担
- 講習費用の補助
- 資格手当の支給(月額2,000〜10,000円程度)
- 勉強時間の確保支援
会社の制度を確認し、積極的に活用しましょう。
AI・ロボットと協働するための心構え
「置き換えられる」ではなく「協働する」
AIやロボットを「自分の仕事を奪うもの」と捉えるのではなく、「自分の能力を拡張してくれるパートナー」と捉えましょう。
協働の具体例
| AI・ロボットの役割 | 人間の役割 |
|---|---|
| 24時間の映像監視 | 異常検知後の判断・対応 |
| 定型ルートの巡回 | 状況に応じた柔軟な対応 |
| データの収集・分析 | 分析結果に基づく意思決定 |
| 来訪者の一次対応 | クレーム・トラブル対応 |
変化を前向きに捉える
「昔のほうが良かった」と変化を否定するのではなく、「新しい技術でどう良くなるか」を考えましょう。
前向きな姿勢の例
- 新システム導入 → 「覚えるの面倒」ではなく「業務が楽になるかも」
- ロボット導入 → 「仕事が減る」ではなく「単純作業から解放される」
- タブレット入力 → 「紙のほうが早い」ではなく「報告が正確になる」
自分の強みを明確にする
AIにはできないこと、自分だからできることを明確にしましょう。
人間の警備員の強み
- 臨機応変な対応
- 感情を持つ人間への共感
- 経験に基づく直感
- 想定外の事態への対応
- 関係者との信頼関係構築
これらの強みを意識的に磨くことで、AI時代でも価値を発揮できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. ITが苦手でも警備員として働けますか?
**A. 働けます。**ただし、基本的なスマートフォン・タブレット操作は覚える必要があります。特別な専門知識は不要で、日常的に使っていれば自然と身につくレベルです。会社の研修でもサポートしてもらえるので、苦手意識を持ちすぎる必要はありません。
Q2. 資格は何から取得すればいいですか?
**A. まずは自分の担当業務に関連する2級検定から始めましょう。**施設警備なら施設警備業務検定2級、交通誘導なら交通誘導警備業務検定2級が定番です。未経験の場合は、入社後1〜2年の実務経験を積んでから取得するのが一般的です。
Q3. 英語力は必要ですか?
**A. 必須ではありませんが、あれば有利です。**特に空港、ホテル、商業施設など外国人の来訪が多い施設では、基本的な英語フレーズができると重宝されます。「May I help you?」「This way, please.」程度から始めましょう。
Q4. どの現場がスキルアップしやすいですか?
**A. 大規模商業施設やオフィスビルがおすすめです。**来訪者対応が多く、コミュニケーションスキルが鍛えられます。また、最新の監視システムが導入されている場合が多く、ITリテラシーも身につきます。
Q5. AIに仕事を奪われないか不安です
**A. 完全になくなることはありません。**AIは人間を補助するツールであり、判断や対人対応は人間の役割です。ただし、「AIと協働できる人」と「できない人」で差がつく可能性はあります。この記事で紹介した6つのスキルを意識的に磨きましょう。詳しくは「警備員の仕事はAIでなくなる?|将来性と生き残る方法」をご覧ください。
まとめ
AI時代における警備員のスキルを考える上で大切なのは、「このスキルがあれば安泰」と考えるのではなく、「常に学び、変化に適応し続ける」姿勢を持つことです。
AI時代に重要な6つのスキル
| スキル | 概要 |
|---|---|
| ITリテラシー | IT機器を使いこなす基本的な能力 |
| データ分析能力 | システムのデータを読み解く力 |
| コミュニケーション能力 | 対人対応で活躍できる力 |
| 判断力・問題解決能力 | 状況を判断し最適解を選ぶ力 |
| 観察力・注意力 | 異常を察知する敏感さ |
| 学習意欲・適応力 | 変化に対応し続ける力 |
5つのスキルアップ方法
| 方法 | ポイント |
|---|---|
| OJT | 日常業務を学びの機会と捉える |
| 社内研修 | 積極的に参加し質問する |
| 資格取得 | 体系的なスキル習得とキャリアアップ |
| 自己学習 | ITリテラシー・業界知識の向上 |
| 複数現場経験 | 判断力・適応力の向上 |
おすすめ資格
| 資格 | AI時代の重要度 |
|---|---|
| 施設警備業務検定(2級→1級) | 高 |
| 機械警備業務管理者 | 非常に高 |
| 警備員指導教育責任者 | 高 |
AIの進歩がどこまで進むかは誰にも予測できません。だからこそ、特定のスキルに依存するのではなく、変化に適応し続ける力を身につけることが大切です。
今からスキルアップに取り組むことで、どのような変化が訪れても対応できる力を養いましょう。
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