運搬警備(3号警備)は、現金や貴重品の輸送を担当する警備業務です。銀行やATMへの現金輸送、美術品の護送など、高い責任感と信頼性が求められる専門的な仕事です。
警備業務の中では1号警備(施設警備)や2号警備(交通誘導)に比べて求人数は少ないものの、給与水準が高く、安定したキャリアを築ける業務区分です。この記事では、運搬警備の仕事内容、年収、必要な資格、転職方法まで詳しく解説します。
運搬警備(3号警備)とは
運搬警備は、警備業法第2条第1項第3号に定められた業務で、「運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務」と定義されています。
一般的に「現金輸送」や「貴重品輸送」と呼ばれる業務がこれに該当し、特殊な訓練を受けた警備員がチームで行動します。
他の警備業務との主な違い
| 項目 | 運搬警備(3号) | 施設警備(1号) | 交通誘導(2号) |
|---|---|---|---|
| 勤務場所 | 移動中心 | 固定施設 | 工事現場等 |
| 勤務形態 | 日勤中心 | 24時間交代制 | 日勤中心 |
| 年収相場 | 350万〜450万円 | 300万〜350万円 | 320万〜380万円 |
| 未経験者 | やや難しい | 始めやすい | 始めやすい |
運搬警備の主な業務内容
運搬警備の業務は、輸送する対象物によって大きく3つに分かれます。
現金輸送業務
銀行、企業、商業施設などから現金を回収し、指定の場所まで輸送する業務です。警備会社が保有する専用の現金輸送車(防弾仕様の車両)を使用し、通常は3名体制で行動します。
業務の流れ
- 出発前の車両点検・装備確認
- 輸送ルートの確認とセキュリティチェック
- 集金先での現金受け取り(署名・封印確認)
- 輸送中の警戒・監視
- 配送先での現金引き渡し
- 帰社後の報告・精算
チームの役割分担
- 運転担当:安全運転と周囲の警戒
- 護送担当:現金の受け渡しと輸送中の警護
- 警戒担当:車両周辺の監視と緊急時対応
ATM管理業務
コンビニエンスストアや商業施設に設置されたATMの現金補充・回収を行う業務です。現金輸送と比べて1件あたりの対応時間は短いですが、1日に多数の拠点を回ります。
主な作業内容
- ATMへの現金補充
- ATMからの現金回収
- 機器の簡易点検・清掃
- 異常発生時の報告・対応
ATM管理は、現金輸送に比べて体力的な負担が軽く、ルーティン作業が中心です。運搬警備の中では未経験者が入りやすい業務といえます。
貴重品輸送業務
現金以外の高価な物品を輸送する業務です。美術品、宝石、重要書類、精密機器などが対象となります。
特徴
- 輸送物に応じた特別な梱包・取り扱いが必要
- 美術館・銀行・企業などが主なクライアント
- 輸送頻度は低いが、1件あたりの緊張度が高い
貴重品輸送は、現金輸送の経験を積んだベテラン警備員が担当することが多いです。
運搬警備の1日のスケジュール
運搬警備の勤務時間は、輸送先の営業時間に合わせて設定されます。一般的な現金輸送業務の1日を紹介します。
| 時間 | 業務内容 |
|---|---|
| 7:00 | 出社・点呼・本日のルート確認 |
| 7:30 | 車両点検・装備確認・出発 |
| 8:00〜12:00 | 午前の集配業務(5〜8件程度) |
| 12:00〜13:00 | 昼食休憩(車内または指定場所) |
| 13:00〜17:00 | 午後の集配業務(5〜8件程度) |
| 17:00〜18:00 | 帰社・精算・報告書作成 |
| 18:00 | 退勤 |
基本的に日勤(8時間勤務)で、残業は少ない傾向にあります。ただし、繁忙期(ボーナス支給時期、年末年始など)は勤務時間が延びることもあります。
運搬警備の年収・給与
運搬警備は、警備業務の中では比較的高い給与水準が期待できます。
平均年収と給与相場
| 経験 | 月給 | 年収目安 |
|---|---|---|
| 未経験〜1年目 | 22万〜26万円 | 300万〜350万円 |
| 3年目〜 | 26万〜32万円 | 350万〜420万円 |
| 5年目以降 | 30万〜38万円 | 400万〜500万円 |
大手警備会社(セコム、ALSOKなど)では、基本給に加えて各種手当が充実しており、入社3年目で年収400万円を超えることも珍しくありません。
手当の種類
運搬警備では、以下のような手当が支給されることが一般的です。
- 運搬手当:現金輸送業務に従事する警備員への手当(月1万〜3万円程度)
- 資格手当:貴重品運搬警備業務検定取得者への手当(月3,000円〜1万円程度)
- 皆勤手当:無遅刻・無欠勤の場合に支給(月5,000円〜1万円程度)
- 危険手当:高額現金輸送時などに支給されることがある
年収の詳細については「警備員の年収を徹底分析|平均給与・業務別・年齢別」もご覧ください。
運搬警備に必要な資格・条件
運搬警備に就くためには、いくつかの条件と推奨される資格があります。
必須条件
普通自動車運転免許 運搬警備では車両での移動が基本となるため、普通自動車運転免許は必須です。AT限定でも問題ありませんが、MT免許があると採用で有利になる場合があります。
警備業法の欠格事由に該当しないこと 警備員の基本条件として、警備業法第14条で定められた欠格事由に該当しないことが必要です。特に運搬警備では、金銭に関わる業務のため、身元審査が厳格に行われます。
健康であること 現金輸送では、重量のある現金袋(数キロ〜十数キロ)を運ぶことがあるため、一定の体力が求められます。
推奨資格
貴重品運搬警備業務検定(2級・1級) 運搬警備の専門知識と技能を証明する国家資格です。2級は実務経験なしでも受験可能で、合格すると資格手当が支給されます。
資格の詳細は「貴重品運搬警備業務検定|高収入の専門資格」で解説しています。
普通救命講習修了 緊急時の応急処置ができることを示す資格で、採用時にプラス評価されます。
未経験から運搬警備に転職するには
運搬警備は1号・2号警備に比べて未経験者の採用が少ない傾向にありますが、転職は十分可能です。
転職ルート
ルート1:大手警備会社に直接応募 セコム、ALSOK、セントラル警備保障などの大手警備会社では、新卒・未経験者向けの運搬警備採用を行っています。入社後に充実した研修を受けられるため、未経験者でも安心してスタートできます。
ルート2:1号・2号警備で経験を積んでから異動 まず施設警備や交通誘導で警備の基本を学び、社内異動で運搬警備部門に移るルートです。警備業務の基礎を身につけた上でステップアップできるため、確実なキャリアパスといえます。
ルート3:貴重品運搬検定を取得してから応募 資格を先に取得することで、未経験でも専門性をアピールできます。資格保有者は採用で優遇される傾向があります。
求人の探し方
運搬警備の求人は、一般的な求人サイトでは数が限られています。以下の方法で探すのが効果的です。
- 大手警備会社の採用ページ:セコム、ALSOK、セントラル警備保障などの公式サイト
- 警備業界専門の求人サイト:警備業界に特化した求人情報を掲載
- ハローワーク:地域の警備会社の求人が見つかることも
警備会社の選び方については「警備会社の選び方|大手と中小・ホワイト企業の見分け方」を参考にしてください。
運搬警備のメリット・デメリット
運搬警備を検討する際に知っておきたいポイントをまとめます。
メリット
- 給与水準が高い:1号・2号警備より年収50万〜100万円程度高い
- 日勤中心で生活リズムが安定:夜勤が少なく、規則正しい生活が送れる
- チームワークで働ける:常に複数名で行動するため、一人で判断を迫られることが少ない
- 専門性が身につく:貴重品運搬のスキルは他業界でも評価される
デメリット
- 責任が重い:数千万円〜数億円の現金を扱うプレッシャーがある
- 厳格なルール遵守:セキュリティ手順に厳密に従う必要がある
- 求人数が少ない:1号・2号に比べて転職機会が限られる
- 体力が必要:現金袋の運搬など、一定の体力が求められる
まとめ
運搬警備(3号警備)は、現金や貴重品の輸送を担当する専門性の高い警備業務です。給与水準が高く、日勤中心で安定した働き方ができる一方、高い責任感と信頼性が求められます。
未経験からの転職は、大手警備会社への直接応募か、1号・2号警備での経験を積んでからのステップアップが現実的なルートです。
運搬警備に興味がある方は、まず貴重品運搬警備業務検定の取得を目指すことで、転職の選択肢が広がります。
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