「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定って、どんな資格?」「どうやって取得するの?」
結論からお伝えすると、核燃料物質等危険物運搬警備業務検定は警備業務検定6種類の中で最も特殊な国家資格です。原子力発電所で使用する核燃料や放射性廃棄物の運搬を警備する業務で、国家の安全に直結する極めて責任の重い仕事を担います。
この記事では、2026年の最新情報をもとに、資格の取得方法、合格率、試験内容から業界の実態まで網羅的に解説します。
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定とは
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定は、警備業法第2条第1項第3号に基づく国家資格です。正式名称は「核燃料物質等危険物運搬警備業務検定」で、核燃料物質や放射性廃棄物などの危険物運搬を警備する「3号警備業務」の専門性を証明します。
具体的には、核燃料物質等を積載した車両に警備員が乗務する車両を伴走させ、運搬中の盗難や事故の発生を警戒・防止する業務です。
なぜ希少なのか?業界の実態
核燃料物質等危険物運搬警備業務は、警備業界の中でも極めて特殊な分野です。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 実施警備会社数 | わずか9社(2016年時点) |
| 業界構成比 | 0.1% |
| 必要資格者 | 非常に限定的 |
この業務を行える警備会社はわずか9社で、構成比は0.1%にすぎません。しかし、万が一の事故やテロが発生すれば国難レベルの大惨事になる可能性があるため、極めて重要かつ専門的な業務として位置付けられています。
配置義務と法的根拠
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定の資格保有者は、以下の法的根拠に基づき配置が義務付けられています。
関連法規
| 法令 | 条文 |
|---|---|
| 警備業法 | 第2条第1項第3号 |
| 原子力基本法 | 第12条 |
| 原子炉等規制法 | 第59条 |
配置基準
| 資格 | 配置要件 |
|---|---|
| 1級 | 運搬車両、伴走車、その他同行車両のいずれかに1人配置 |
| 2級 | 運搬車両(1級配置車両を除く)ごとに1人以上配置 |
さらに、核燃料を積んだ車両の周囲に警備員が乗った車両が伴走する際は、事前に公安委員会への届け出が必要です。公安委員会は車両の配置、速度、警備員の配置について必要な指示を出すことができます。
警備業務検定の種類について詳しくは、「関連記事:警備業務検定とは|6種類の資格と取得方法を完全解説」をご覧ください。
受験資格を解説【2級と1級の違い】
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定2級は、性別・学歴など特に制限なく受験可能です。
警備員新任教育を受けた18歳以上であれば、誰でも特別講習を受講できます。
1級との違い
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 受験資格 | 制限なし(18歳以上) | 2級取得後、実務経験1年以上 |
| 役割 | 現場での運搬警備業務 | 現場責任者・指導者 |
| 合格率(令和6年度) | 75.0% | 62.5% |
| 累計合格率 | 65.9% | 76.8% |
1級を受験するには、2級取得後に1年以上の核燃料物質等危険物運搬警備の実務経験が必要です。まずは2級の取得がキャリアの第一歩となります。
運搬警備の仕事内容について詳しくは、「関連記事:運搬警備(3号警備)の仕事内容と年収|現金輸送の業務と転職方法」をご覧ください。
資格取得の2つの方法【特別講習 vs 直接検定】
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定を取得するには、特別講習と直接検定の2つの方法があります。
特別講習とは
警備員特別講習事業センターなど、国家公安委員会の登録を受けた講習機関が実施する講習会です。学科講習と実技講習を受けた後、修了考査に合格すると資格が取得できます。
警備員向け講習(2日間)
| 内容 | 時間 |
|---|---|
| 学科講習 | 7時限(1時限50分) |
| 実技講習 | 5時限 |
| 修了考査 | 4時限 |
未経験者向け講習(約6日間)
| 内容 | 時間 |
|---|---|
| 学科講習 | 28時限 |
| 実技講習 | 14時限 |
| 修了考査 | 4時限 |
修了考査の合格基準は、学科・実技ともに90点以上です。
直接検定とは
講習を受けずに、各都道府県の公安委員会が実施する検定試験を直接受験する方法です。独学で学科・実技の両方に合格する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験料 | 16,000円 |
| 合格基準 | 学科・実技ともに90点以上 |
どちらを選ぶべき?比較表
| 比較項目 | 特別講習 | 直接検定 |
|---|---|---|
| 費用 | やや高め | 16,000円 |
| 合格率 | 約75% | 20〜40% |
| 学習サポート | 講師から直接指導 | 独学 |
| 実技練習 | 講習内で練習可能 | 自主練習のみ |
| 実施頻度 | 年数回 | 極めて少ない |
| おすすめ | 初めて受験する方 | 費用を抑えたい経験者 |
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定は実施頻度が非常に低いため、特別講習での取得が一般的です。
初めて受験する方は、特別講習がおすすめです。費用は高くなりますが、講師から実技指導を受けられるため、合格率が大幅に上がります。多くの警備会社では資格取得費用を会社が負担してくれるため、入社前に確認しておきましょう。
試験日程【2026年版】
特別講習
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定の特別講習は、年間の実施回数が極めて限られています。他の警備業務検定と比べて受験者が少ないため、実施頻度は最も低い部類です。
| 問い合わせ先 | URL |
|---|---|
| 警備員特別講習事業センター | 公式サイト |
申し込みは会社単位で受け付けている場合が多いため、所属する警備会社を通じて申し込みましょう。講習の実施予定は、公式サイトの「トピックス」ページで最新情報をご確認ください。
直接検定
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定の直接検定は、都道府県によっては実施されていない場合がほとんどです。この資格の直接検定は実施頻度が極めて低いため、特別講習での取得を前提に検討することをおすすめします。
直接検定を希望する場合は、各都道府県の公安委員会に直接お問い合わせください。
試験内容
学科試験
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 20問 |
| 試験時間 | 60分 |
| 合格基準 | 90%以上(18問以上正解) |
| 形式 | 5択マークシート |
出題範囲
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定の学科試験では、他の警備業務検定とは異なる専門的な知識が問われます。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 警備業務の基本 | 基本原則、資質向上 |
| 警備業法と関係法令 | 警備業法、原子力関連法規 |
| 原子力の基礎知識 | 原子構造、ウラン核分裂の仕組み |
| 核物質の規制 | 核物質の運搬に関する法律 |
| テロ対策 | 化学兵器・細菌兵器に関する基礎知識 |
| 放射線測定 | 放射線測定器具の知識 |
通常の警備業務検定と比べて、原子力・放射線に関する専門知識が求められる点が特徴です。
実技試験
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 合格基準 | 90点以上 |
| 採点方式 | 減点方式 |
実技試験の主な内容
| 科目 | 内容 |
|---|---|
| 車両点検 | 運搬車両・伴走車両の点検要領 |
| 見張り | 運搬中の周囲警戒 |
| 運搬中の連絡 | 本部・関係機関との連絡要領 |
| 放射線測定器具の操作 | 測定器の点検・修理・操作方法 |
| 護身術 | 襲撃時の対応 |
| 避難誘導 | 緊急時の避難誘導要領 |
特に放射線測定器具の操作は核燃料物質等危険物運搬警備業務特有の試験科目であり、他の警備業務検定では問われない専門的なスキルが求められます。
合格率と難易度
最新の合格率データ
| 方式 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 特別講習 2級(令和6年度) | 75.0% | 36人 | 27人 |
| 特別講習 1級(令和6年度) | 62.5% | 8人 | 5人 |
累計合格率データ(平成18年〜令和6年3月)
| 級 | 累計受験者数 | 累計合格者数 | 累計合格率 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 241人 | 185人 | 76.8% |
| 2級 | 784人 | 517人 | 65.9% |
累計で見ると、2級は約66%、**1級は約77%**の合格率です。受験者数自体が非常に少ないため、年度によって合格率にばらつきがあります。
落ちる人の共通点
不合格になる人には以下の共通点があります。
学科試験で落ちるケース
- 原子力関連知識の不足:原子構造やウラン核分裂など専門知識が必要
- 90点の基準を甘く見る:9割正解は想像以上に厳しい
- 関連法規の理解不足:原子力基本法・原子炉等規制法の知識が必要
実技で落ちるケース
- 放射線測定器具の操作手順を覚えていない
- 車両点検の要領が不十分
- 声が小さく、動作に自信がない
学科対策は特に入念に行う必要があります。原子力に関する専門知識は事前に学習しておくことが重要です。
仕事内容と年収
核燃料輸送警備の業務内容
核燃料物質等危険物運搬警備業務の主な仕事内容は以下の通りです。
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 伴走警備 | 核燃料を積載した車両の周囲に警備車両を伴走させる |
| 同乗警備 | 核燃料を積んだ車両・航空機に同乗して警備 |
| 盗難防止 | 核燃料物質の盗難を警戒・防止 |
| 事故対応 | 異常発生時の連絡・避難誘導 |
核燃料が盗まれる事態は国家の一大事と言っても過言ではなく、極めて責任重大な仕事です。
年収の目安
輸送警備は年収が高めの傾向にありますが、核燃料物質等危険物運搬警備は他の輸送警備よりもさらに専門性が高いため、待遇面で優遇されるケースが多いです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 月収相場 | 20〜35万円 |
| 年収相場 | 350〜500万円 |
| 資格手当 | 月5,000〜20,000円 |
ただし、この業務を行う警備会社はわずか9社と限られているため、求人自体が非常に少ないのが現状です。
就職先(業界わずか9社)
核燃料物質等危険物運搬警備業務を行う警備会社は、大手警備会社の中でも限られた企業のみです。具体的な会社名は公表されていませんが、原子力関連施設の警備を請け負う専門性の高い警備会社に限定されます。
この資格を活かした転職を目指す場合は、以下の方法が効果的です。
- 原子力関連施設の警備会社に入社する
- 入社後に会社負担で資格を取得する
- 実務経験を積んで1級取得を目指す
警備会社の選び方について詳しくは、「関連記事:警備会社の選び方|大手と中小・ホワイト企業の見分け方」をご覧ください。
まとめ
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定は、警備業務検定6種類の中で最も特殊な国家資格です。
この記事のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 制限なし(18歳以上) |
| 取得方法 | 特別講習(合格率75%)または直接検定(実施頻度極めて低い) |
| 費用 | 直接検定16,000円 |
| 試験内容 | 学科20問(90%以上)+実技(90点以上) |
| 特徴 | 原子力・放射線の専門知識が必要 |
| 実施会社 | わずか9社(業界構成比0.1%) |
初めて受験する方は、特別講習の受講がおすすめです。直接検定は実施頻度が極めて低いため、特別講習での取得が一般的です。
原子力関連の専門知識が求められるため、事前学習が重要です。学科試験では原子構造やウラン核分裂、関連法規など、他の警備業務検定にはない分野が出題されます。
国家の安全に直結する専門的な警備職を目指すなら、核燃料物質等危険物運搬警備業務検定の取得を検討してみてください。













